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FRBが資産バブルを認識することは困難であり、また、経済への深刻な打撃を伴わずに資産価格を導くことは不可能である。 要するに、われわれは安全にバブルを破裂させることはできない。

威勢のよいバブル潰しは経済全体を不況に落とし入れるだろう(大恐慌時代のFRB理事、アドルフ・Mを"攻撃的バブル・ポッパー"の代表的悪例として挙げている)。 バブルの発生を抑え、金融システムを守るためには、ミクロレベルの政策を使う方が遥かによいアプローチだと私は信じている。
銀行システムの資本健全性の監督、ポートフォリォのストレステスト、金融教育の改善、金融自由化過程に対する注意、そして"最後の貸し手"としての役割を演じる意志、である。 配慮しなければならない。
金融資産価格は消費、投資、将来の成長に影響を与える。 資産価格の巨大な変動が生産や物価の安定にかなり大きな影響を与えてきたことは、歴史上の数々の実例が教えてくれている。
している。 中央銀行にとってのチャレンジは、資産価値の変動がどの程度か判断し、経済の進展に与える影響がどの程度になるかを予測することである。
しかしながら、そのような複雑さを認識することは、資産価値の変動に金融政策が賢明な判断で対応しようとすることの重要性を低下させるものではない。 このチャレンジに中央銀行がどのような航海を行うべきか、いくつかの考えがある。
からである。 ニューヨーク連銀総裁のGは二○○六年一月二日に、講演で、資産価格に対する見解を述べている。

に応じた適切な資産価格の評価方法をほとんど知らないし、将来の資産価格を予想する能力をほとんど持っていないし、資産価格の変動が実体経済やインフレへ与える影響を把握できないまた、サンフランシスコ連銀のB・エコノミストが二○○五年八月に発表したエッセイは、バブルに対処する際の中央銀行の実務的な判断基準を整理して示している。 バブル潰しに特化する金融政策(例えば株価を下落させるための大幅な金利引き上げなど)を発動するには、次の三つのクエスチョンがイエスとなることが必要だという。
場合は、金融政策はそれに適応するべきだろう。 求められる。
もし資産価格の下落が予想通りに現実化しなかった場合には、それを予想して行った金融緩和策は、緩和のやりすぎということになり、それ自体が将来の資産価格上昇を招いてしまうだろう。 しかしながら、資産価格の予測が難しいとはいえ、その予測を政策決定の要因として考慮しないわけにはいかない。
不確実性と暮らしている。 われわれが知らないことを明らかにしていくことは、不確実な世界で直面しているチャレンジへの柔軟な対応能力の維持につながる。
イエスの場合はバブル潰しの政策を発動する。 ノーの場合は、通常の金融政策を続ける。
イングランド銀行はインフレ・ターゲットを採用している(CPIの前年比上昇率でプラス二%が目標)。 しかし、同行はインフレ率が比較的安定している中で激しい住宅価格の高騰に見舞われた。
イングランド銀行のC・ビーン・チーフェコノミストは、インフレ・ターゲットの枠組みを維持するために修正案として、フレキシブル・インフレーション・ターゲティングへの賛意を表している。 予防的なアクションで資産価格のバブルや不均衡を防ぐ可能性に関しては、私はかなり懐疑的である。
それらの問題の早期分析は困難に満ちている。 実体経済に打撃を与えずにアクションを採ろうとしても、バブルが出現したと確信を得た時にはすでに遅すぎる。
資産バブルに対して金融引き締めを行うことは、非生産的な結末をもたら資産バブルの発生と崩壊後に訪れる資産デフレは、長い目で見れば物価の安定に悪影響を与える。 よって、インフレ・ターゲットとは言っても、足下のインフレ率だけに捕らわれずに、資産市場にも目配せしながら長期的な視野で政策運営を行うことが必要になる、というわけだ。

しかしながら、彼が主張するそのような柔軟なインフレ・ターゲットの下での政策判断は、結局、明示的なインフレ・ターゲットを採用していなかったG時代のFRBの"総合判断”のスタイルに限りなく近づくことになる。 イングランド銀行のS・ワドワーニ、オハイオ州立大学のSジュネーブ大学のHらは、中央銀行がバブルの発生を認識するのは容易ではないとはいうものの、しかし、「通常の金融政策の枠組みの中で使われている、アウトプット・ギャップやNAIRU(自然失業率)の計測も容易とは明確にはいえない」と述べている。
つまり、金融政策には不確実性がもともと付きまとうのだから、中央銀行は資産バブルの問題から逃げてはいけない、すだろう。 経済は二つのデフレ衝撃(「バブル崩壊」と「遅れて現れる金融引き締め効果」)に見舞われるためである。
私の見解を一言でいえば、フォワード・ルッキングなフレキシブル・インフレーション・ターゲティングを採用することが最善である。 それを採用する中央銀行は、金利を設定する時に、資産バブルや金融の不均衡といった長期的な影響についても考慮すべきである。
インフレ・ターゲットの運営者には長期的な視野が必要とされる。 という意味になる。
資産価格の不均衡に対応することで、金融政策はマクロ経済のパフォーマンスを改善することができる、と主張している。 インフレ率が低位安定する下で巨大なバブルが発生した"先進例”は日本である。
その分析として「バブル期の金融政策とその反省」(K・I・A「バブルと金融政策』日本経済新聞社収録)に興味深い指摘が載っている。 バブルを引き起こすには、金融緩和(その前提としての物価安定)だけでは十分ではない。
期待の強気化が必要である。 日本銀行法第二条は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」ことを理念としている。
足下の物価安定を確保することは必要であるが、「健全な発展」という以上、視野は長期的であり、多面的であってよい。 資産価格の変動を物価変動の先行指標と見なしてよければ、長期的な物価安定を図るため資産価格の動向にも配慮することが必要になる。
(一九八○年代後半には)日本の低金利が国際的要請によるもので拒否できないとの見方が広まり、低金利が永続するかのような予想が強固になってバブル誘発の一因になった。 低金利神話が定着したのは、財政当局が中央銀行をさしおいて低金利を国際的に公約したような状況が伝えられ、中央銀行の自主的判断の余地が乏しいとの印象が強められたことも一因とニューヨークの不動産業者にヒアリングしたところ、二○○五年七月にG前議長が住宅市場のブームを"フロス"と呼んで牽制を放った直後、華僑系大手ファンドなどが素早い日本銀行の国内政治、国際政治からの独立性は低いと国民から見なされたことが、低金利永続神話を呼び、それが期待を強気化させたという指摘は今日的にも重要である(低金利といっても当時の公定歩合は二・五%だったが)。

二○○六年現在、市場や国民の間には「財政再建のために日銀はゼロ金利(あるいは超低金利)を長期継続せざるを得ない」という見方が広範囲に存在している。

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